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出張大魔王

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お代官と越後屋日記 17

第17話 大量殺戮

越後屋が急に席がえを言い出した。
派遣会社から来ている女の子を全員自分の周りに集めると言い出したのだ。
営業以外の派遣社員は
営業支援担当1名、総括担当1名、SE支援担当2名の4名なのだが
SE支援担当を自分の席のシマに移動させて総括業務を行わせようというのだ。その内の1名は自分とお代官の秘書業務をさせるつもりである。
四国藩の営業は社員と派遣社員を合わせて8名である。
それに対して総括(総務)の業務を行う人間は社員と派遣社員を合わせると8名になる。
総務8名に営業8名、SE4名というなんとも頭でっかちな組織である。
これには訳があった。
越後屋は全体の人数は少ないが四国藩の営業を束ねる営業課長と総務を束ねる総務課長を兼任している形である。
関西藩への報告など業務は多忙を極める。その為に正社員が一人、派遣社員が2人ついて補佐していた。
前任の白川の時にはそれで充分であったのだが
越後屋の事務処理能力はケタ違いに劣っていたのだ。
営業8名が日々の営業報告をCRM-SFAと呼ばれる社内システムを通して出すのだが、最初の3ヶ月は見方すら覚えられなかった。
通常はそれをチェックし各担当者ごとの仕事の動きや案件の進捗状況を把握し適切な指示を与えるのが営業担当課長の仕事の重要な部分であるのだが、越後屋の場合、上への報告業務を最重要視するあまり部下の営業活動については無頓着であった。
関西藩から報告を求められた時には大慌てでヒアリングと称して1時間ほど直接話を聞くのである。
これでは部下の抱えている問題など解るはずもない。
「課長、もっとCRM-SFAを見てくださいよ」
藩士達は何度も訴えたが、越後屋はそのいやらしい目つきでニヤニヤするばかりであった。

そんな越後屋の能力不足を補うべく女の子を大集合させ「大奥」を作り上げたのだった。
迷惑なのは「大奥」に集められた女の子たちであった。
「あんたは私とお代官の秘書やから、何でも言う事きかなあかんで」
(そんな秘書業務は契約に入っていません)
「今度、総括だけで飲みに行かへんか。」
(それって男はあんたダケやろ)
「俺、今度金沢へ出張すんねんけどな。一緒に連れてってあげようか」
(死んでも行きません)
「俺ってもてるんやで。君とお似合いかもな。」
(飲み屋のねーちぇんにモテるんやろ)

「バカ代官とセクハラ越後屋野郎なんか死んでしまえ!」
そういい残して2ヶ月後、二人の派遣社員が辞めていった。

お代官と越後屋が来て3ヶ月、4人が辞めていった。


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